わたしの記憶を辿る旅でもあった-『おまえうまそうだ』-

文章:大須シネマスタッフ ときおたろうまる

私はスピノサウルスが好きです。ヒレが好きなんです。何だかヒレってかっこいい。昔はスピノの牙の化石をポケットに忍ばせて、恐竜博士を名乗っていました。というようなことを、この映画が思い出させてくれました。

『おまえうまそうだな』のあらすじを少し。
主人公のハートはティラノサウルスとして生を受けるが、運命のいたずらで草食恐竜のマイアサウラの元で育てられる。優しい母と活発な兄に囲まれ、すくすくと優しい男の子に育つハート。しかし、奥底に眠る肉食の本能に気づいた彼は、家族のもとを離れて孤独な生活を始めるのだった。

『おまえうまそうだな』懐かしい。『ぐりとぐら』、『ミッケ!』ああ懐かしい。あの頃はみんな読んでいたなあと思う。
絵本を読まなくなって久しい。どれも内容がおぼろげである。そんな私にも、記憶の奥底に強く残っている絵本がある。マーサ・メイヤーの『おしいれおばけ』という本だ。おやすみ前に暗いのを怖がる私を見かねて、父がくれた本だった。
表紙には老け顔の少年と、押し入れから顔をのぞかせるお化けが描かれていた。初めは、何だか妙に写実的なタッチの絵を不気味に思った。けれど、日本のゆるい絵本にはない世界観にどこか惹きこまれた私は、お化けなんて怖くなくなった。

小さい頃読んだ絵本、『おまえうまそうだな』が映画になる。それは古い友人に会うような温もりを孕んでいる。
豊かな自然をドスドス闊歩する恐竜たちを見ていると、太古の記憶、すなわち幼少期の記憶が想起される。
昔はよくカサゴの絵を描いたな~とか、蒟蒻ゼリーが好きだったな~とか、そういうの。そんなどうでも懐かしいことが、映画のテーマの一つである家族とマッチして、たぶん実家に帰りたくなるよ。

それに、何だか昔の自分を思い出すのもいい。自分が本当に大切にしているものは何だったのか、有り余る膨大な情報にさらされ続ける現代社会の中で、自分のことを考える時間は失われている。

今は夏休み、実家に帰省もいいけれど、私は私に帰省したい。自分を探しに、是非大須シネマへ。



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大須シネマ8月5日~8月18日までのプログラム

10:00~「道」<フェリーニの名作>
12:30~「おまえうまそうだな」<累計150万部突破の絵本>
14:20~「スペシャルID特殊身分」<ドニー・イェン究極のアクション>
16:20~「ショートショート」<7カ国の物語>
19:20~「サスペリア」<史上最も美しいホラー>

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大須シネマ(席数42)
営業時間:9時30分開場~21時終了(年中無休)
劇場:名古屋市中区大須3-27-12
電話:052-253-5815
※上映開始前は電話に出られないことがあります。
※ブログコメントにはお答えできないこともあります。
予めご了承ください。

ホームページ:http://www.osucinema.com/
Twitter:https://twitter.com/osucinema
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