トレインスポッティングを「選べ」!
高々と鳴り響くイギーポップの「Lust for Life」。
追う警官。
歴史を残すエディンバラの街で、主人公レントンは走る、走る、走る。
高校2年生の夏、当時のわたしは画面に釘付けになった。
なんとなく観た「トレインスポッティング」。
それまでも映画や音楽によく触れてはいたけれど、何かが変わったのは確実にあの時だったんだと思う。
「トレインスポッティング」は、不況下にあるスコットランドのエディンバラで、ドラッグを漬けの毎日を送る主人公レントンとその仲間達の生き様、苦悩や葛藤を描いた青春映画だ。
ドラッグから足を洗おうとしながらも、就職や女性関係など何もかもうまくいかず、暗転の一途を辿ってゆく彼らの人生を、音楽やファッションなどを通して、スピード感たっぷりに描いている。
ちなみに公開当時は、イギリス社会の現実を生きる新たな価値観を持った若者のタブーへと切り込み赤裸々に描いていると世界中に衝撃を与え、英国のエンターテインメント界が絶頂期へ向かうのを後押しした…らしい。
というのも私はその時代をしらないから。
「クール・ブリタニア」やその中で開花した「ブリットポップ」ムーブメント…私は後になって知るしかなかった世代。
本作をきっかけに私は、UKインディ周辺のカルチャーにのめりこみ、自分のモヤモヤがかつて地球の裏側で、こんな風に表現されていたことにただただ驚いたものだ。
あれは国策だったんだよと言われても、そんな事実ますます面白い。(政治と音楽や映画がつながりを持つことは必ずしも悪いことではないと思うから)
とはいえ私はスコティッシュではない。
彼らが駆け抜けた時代の空気感もしらない。
薬物漬けでもないし、トイレにダイブは絶対御免だ。
一方でこの映画に描かれているのは、不況下のスコットランドを彷徨う薬物中毒の不良達。
全員間違っても友達になりたくないタイプ。
でもそんな彼らに一種の愛着、共感みたいなものを覚えたのは…世代も生まれも違う日本の高校生だった私の中の何かが、刺激されてしまったのは…なぜだろう?
それは多分、あの閉塞感の中、自分に、周りに、そして社会にイラついて、現実から必死に逃げている姿。それから、同じ日々が繰り返される事への恐怖。
私は色々な青春映画を観てきたけれど、この映画は少し違う。
彼らは社会に対してビックになろうとか、メッセージを残そうとか、そういった類のことは考えていない。
趣味(ノーザンソウルやシングストリートでは音楽)で繋がりを得たり、輝いたりしてもいない。
彼らはただドラッグによって繋がり、肥溜の中、ただただ絶望している。
「弱さが強さ」みたいな表現をよく耳にするが、そんな甘っちょろいものではない。彼らはシンプルに弱く、Shite(アイルランド 、スコットランド訛りのShit)だ。そういえばいつだったか、ダニーボイルは人間を描くんだと私の好きな映画評論家が言っていた。そんな姑息で、リアルで、ギスギスとした人間らしさがこの映画にもある。
実は、イギリス留学中、スコットランドに行って、彼らが走り抜けたエディンバラの街を、ゆっくりと歩いた事がある。
レントンとスパッドが仲良く飲んでいたミルクシェイクも飲んだ(場所は隣町のグラスゴーだったけど。もちろんストローは2本つけてもらった) 、エディンバラの大通りにはレントンたちのような若者がスマホ片手に闊歩し、カフェには労働者の人々が出入りしていて、そこには大須となんら変わらない生活があるのだと知った。

(レントンたちが駆け抜けたエディンバラの町並み2019年ver)
この映画に対して、怖い、気持ち悪いと感じる人の気持ちも分かる。(確かに、お食事中観ることはお勧めしない)でもきっと、私たちにとって未知の世界を映しているわけではないのだと、なんとなく思う。そして不良を描いただけのおしゃれ映画でもない。
主人公レントンとその仲間達よろしく、現代社会を生きる私たちも、新型コロナウイルスによって、この先何をしたいか、どう生きるのか…選ぶということが簡単にできなくなった。なんだか選ぶって事自体、特権階級がもつ贅沢な言葉のような気がしてくるほどだ。そしてしまいには選ぶことからも逃げたくなる。逃げて、逃げて、どこかへ行ってしまいたくなる!
けれどレントンは選べという。
映画内で呪文のように繰り返す。それは一種の呪いみたいなものだと今改めて思った。
公開当時に熱狂した人も、まだ見たことのない人も、そんな悲惨な彼らにぜひ会いにきて欲しい。
10代〜20代前半の私と同世代の人にはほとんど馴染みのない映画かもしれないけど、もしかしたらこのどうしようもない世の中を生き抜くヒントが転がっているかもしれないから。
レントンの不敵な笑みがあなたに何をもたらすのか…それが薬物以外であることを願う。
※最後に、いつ聞いても最高な劇中の迷言をどうぞ。
レントン
「頑張りすぎはー」
“Try too hard-“
スパッド
「ー就職しちまう」
“You might get the fuckin’ job.”
うん、座右の銘にしよっと…。
担当:大須シネマスタッフ たけ
■■■
お願い
上映中、飲み物を飲むとき以外はマスクを着用下さい。
お客様もスタッフも安心して映画館で映画を観るという日常を送るためには皆様のご協力が必要です。
上映中にマスクを外す方がいらっしゃることが今後判明しましたら、飲料の持ち込み不可といたします。
でも、これから気温もあがりますし、喉を潤したいと思う方もいらっしゃると思います。
劇場は換気設備が整っていますが、マスクを外した時に、思わずくしゃみが出ることもあるでしょう。
はずみで咳がでることもあるでしょう。
マスクをしていれば飛沫を減らせます。
日常のどの場面でも、今は自分のためだけでなく周りの方のためにも皆様マスクしていますよね?
ならば、たまたま同じ日の同じ時間に同じ劇場で同じ映画を観るという(しかもお客様の少ない大須シネマで💦)同士のためにもマスクを外さず、皆が同じように楽しんでいただきたいです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
大須シネマ
■■■
【みんにゃで楽しむために!】
映画館は常時換気されています。
上映毎座席消毒しています。
ロビーの机、トイレ、ドアノブなども適宜消毒しています。
お客様には、入場前に手のアルコール消毒のご協力と
飲食時以外はマスクを着用下さい。
体調が悪い時は外出せず、元気な時にお出かけしましょう!

接触を少なくする対策を取り、スクリーンのある部屋だけでなくロビーも受付内も常時換気です。
ご来館者さまもどうか消毒とマスク着用で安心して皆様が楽しめるようお願い申し上げます。
【大須シネマ 通常上映時】
☆上映10分前になりましたら、チケットに記載の番号順にお呼び致します。
お呼びした時点で劇場内にいらっしゃらない場合は、次の番号をお呼びすることがございます。
予めご了承ください。
☆席は自由席です。
※チケット代:1,400円(映画によって変わる場合あります)
※館内はスクリーンのある部屋、ロビー、受付全部常時換気
※上映毎座席消毒
演目・イベントによって飲食可否変更し、座席数の調整を致します。
予めご了承ください。
----------------------------------------------
大須シネマ(席数42)
営業時間:11:00~チケット販売開始
※映画により営業時間の変更あります(年中無休)
劇場:名古屋市中区大須3-27-12
電話:052-253-5815
※上映開始前は電話に出られないことがあります。
※ブログコメントにはお答えできないこともあります。
予めご了承ください。
ホームページ:http://www.osucinema.com/
Twitter:https://twitter.com/osucinema
Instagram:https://www.instagram.com/osucinema/
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追う警官。
歴史を残すエディンバラの街で、主人公レントンは走る、走る、走る。
高校2年生の夏、当時のわたしは画面に釘付けになった。
なんとなく観た「トレインスポッティング」。
それまでも映画や音楽によく触れてはいたけれど、何かが変わったのは確実にあの時だったんだと思う。
「トレインスポッティング」は、不況下にあるスコットランドのエディンバラで、ドラッグを漬けの毎日を送る主人公レントンとその仲間達の生き様、苦悩や葛藤を描いた青春映画だ。
ドラッグから足を洗おうとしながらも、就職や女性関係など何もかもうまくいかず、暗転の一途を辿ってゆく彼らの人生を、音楽やファッションなどを通して、スピード感たっぷりに描いている。
ちなみに公開当時は、イギリス社会の現実を生きる新たな価値観を持った若者のタブーへと切り込み赤裸々に描いていると世界中に衝撃を与え、英国のエンターテインメント界が絶頂期へ向かうのを後押しした…らしい。
というのも私はその時代をしらないから。
「クール・ブリタニア」やその中で開花した「ブリットポップ」ムーブメント…私は後になって知るしかなかった世代。
本作をきっかけに私は、UKインディ周辺のカルチャーにのめりこみ、自分のモヤモヤがかつて地球の裏側で、こんな風に表現されていたことにただただ驚いたものだ。
あれは国策だったんだよと言われても、そんな事実ますます面白い。(政治と音楽や映画がつながりを持つことは必ずしも悪いことではないと思うから)
とはいえ私はスコティッシュではない。
彼らが駆け抜けた時代の空気感もしらない。
薬物漬けでもないし、トイレにダイブは絶対御免だ。
一方でこの映画に描かれているのは、不況下のスコットランドを彷徨う薬物中毒の不良達。
全員間違っても友達になりたくないタイプ。
でもそんな彼らに一種の愛着、共感みたいなものを覚えたのは…世代も生まれも違う日本の高校生だった私の中の何かが、刺激されてしまったのは…なぜだろう?
それは多分、あの閉塞感の中、自分に、周りに、そして社会にイラついて、現実から必死に逃げている姿。それから、同じ日々が繰り返される事への恐怖。
私は色々な青春映画を観てきたけれど、この映画は少し違う。
彼らは社会に対してビックになろうとか、メッセージを残そうとか、そういった類のことは考えていない。
趣味(ノーザンソウルやシングストリートでは音楽)で繋がりを得たり、輝いたりしてもいない。
彼らはただドラッグによって繋がり、肥溜の中、ただただ絶望している。
「弱さが強さ」みたいな表現をよく耳にするが、そんな甘っちょろいものではない。彼らはシンプルに弱く、Shite(アイルランド 、スコットランド訛りのShit)だ。そういえばいつだったか、ダニーボイルは人間を描くんだと私の好きな映画評論家が言っていた。そんな姑息で、リアルで、ギスギスとした人間らしさがこの映画にもある。
実は、イギリス留学中、スコットランドに行って、彼らが走り抜けたエディンバラの街を、ゆっくりと歩いた事がある。
レントンとスパッドが仲良く飲んでいたミルクシェイクも飲んだ(場所は隣町のグラスゴーだったけど。もちろんストローは2本つけてもらった) 、エディンバラの大通りにはレントンたちのような若者がスマホ片手に闊歩し、カフェには労働者の人々が出入りしていて、そこには大須となんら変わらない生活があるのだと知った。

(レントンたちが駆け抜けたエディンバラの町並み2019年ver)
この映画に対して、怖い、気持ち悪いと感じる人の気持ちも分かる。(確かに、お食事中観ることはお勧めしない)でもきっと、私たちにとって未知の世界を映しているわけではないのだと、なんとなく思う。そして不良を描いただけのおしゃれ映画でもない。
主人公レントンとその仲間達よろしく、現代社会を生きる私たちも、新型コロナウイルスによって、この先何をしたいか、どう生きるのか…選ぶということが簡単にできなくなった。なんだか選ぶって事自体、特権階級がもつ贅沢な言葉のような気がしてくるほどだ。そしてしまいには選ぶことからも逃げたくなる。逃げて、逃げて、どこかへ行ってしまいたくなる!
けれどレントンは選べという。
映画内で呪文のように繰り返す。それは一種の呪いみたいなものだと今改めて思った。
公開当時に熱狂した人も、まだ見たことのない人も、そんな悲惨な彼らにぜひ会いにきて欲しい。
10代〜20代前半の私と同世代の人にはほとんど馴染みのない映画かもしれないけど、もしかしたらこのどうしようもない世の中を生き抜くヒントが転がっているかもしれないから。
レントンの不敵な笑みがあなたに何をもたらすのか…それが薬物以外であることを願う。
※最後に、いつ聞いても最高な劇中の迷言をどうぞ。
レントン
「頑張りすぎはー」
“Try too hard-“
スパッド
「ー就職しちまう」
“You might get the fuckin’ job.”
うん、座右の銘にしよっと…。
担当:大須シネマスタッフ たけ
■■■
お願い
上映中、飲み物を飲むとき以外はマスクを着用下さい。
お客様もスタッフも安心して映画館で映画を観るという日常を送るためには皆様のご協力が必要です。
上映中にマスクを外す方がいらっしゃることが今後判明しましたら、飲料の持ち込み不可といたします。
でも、これから気温もあがりますし、喉を潤したいと思う方もいらっしゃると思います。
劇場は換気設備が整っていますが、マスクを外した時に、思わずくしゃみが出ることもあるでしょう。
はずみで咳がでることもあるでしょう。
マスクをしていれば飛沫を減らせます。
日常のどの場面でも、今は自分のためだけでなく周りの方のためにも皆様マスクしていますよね?
ならば、たまたま同じ日の同じ時間に同じ劇場で同じ映画を観るという(しかもお客様の少ない大須シネマで💦)同士のためにもマスクを外さず、皆が同じように楽しんでいただきたいです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
大須シネマ
■■■
【みんにゃで楽しむために!】
映画館は常時換気されています。
上映毎座席消毒しています。
ロビーの机、トイレ、ドアノブなども適宜消毒しています。
お客様には、入場前に手のアルコール消毒のご協力と
飲食時以外はマスクを着用下さい。
体調が悪い時は外出せず、元気な時にお出かけしましょう!

接触を少なくする対策を取り、スクリーンのある部屋だけでなくロビーも受付内も常時換気です。
ご来館者さまもどうか消毒とマスク着用で安心して皆様が楽しめるようお願い申し上げます。
【大須シネマ 通常上映時】
☆上映10分前になりましたら、チケットに記載の番号順にお呼び致します。
お呼びした時点で劇場内にいらっしゃらない場合は、次の番号をお呼びすることがございます。
予めご了承ください。
☆席は自由席です。
※チケット代:1,400円(映画によって変わる場合あります)
※館内はスクリーンのある部屋、ロビー、受付全部常時換気
※上映毎座席消毒
演目・イベントによって飲食可否変更し、座席数の調整を致します。
予めご了承ください。
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大須シネマ(席数42)
営業時間:11:00~チケット販売開始
※映画により営業時間の変更あります(年中無休)
劇場:名古屋市中区大須3-27-12
電話:052-253-5815
※上映開始前は電話に出られないことがあります。
※ブログコメントにはお答えできないこともあります。
予めご了承ください。
ホームページ:http://www.osucinema.com/
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